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ちくまプリマー新書

翻訳をジェンダーする

翻訳小説は「女らしい」文末詞の割合が高い

翻訳小説の女性達は原文以上に「女らしい」言葉で訳されている。翻訳と社会と私達の密接な関係を読みとき、社会に抗する翻訳、フェミニスト翻訳の可能性を探る。

定価

990

(10%税込)
ISBN

978-4-480-68496-7

Cコード

0295

整理番号

469

2024/09/09

判型

新書判

ページ数

256

解説

内容紹介

翻訳された言葉には必ずわたし達の社会があらわれ、
そして翻訳されたものは社会に影響を与える。

翻訳小説の女性達は原文以上に「女らしい」言葉で訳されていることがあります。翻訳と社会とわたし達の密接な関係を読みとき、性差別をなくすための翻訳、社会に抗する翻訳の可能性を探る一冊。

「はじめに」より一部抜粋
翻訳には、それまでにあった古い考えにとらわれない、新しい言葉を生み出す可能性があります。そして、社会の中に存在しなかったり、埋もれたりしている概念を言葉によって「見える化」したり、それまでの偏った見方を変えたりする力があります。

目次

【目次(一部)】
はじめに
 『プラダを着た悪魔』の主人公はどんな話し方をする?
 「ハリー・ポッター」のハーマイオニーには友だちがいない?
 小説はフィクション、わたしたちはリアルな存在
 [……]

第一章 小説の女たちはどう翻訳されてきたのか
 日本語への翻訳とジェンダー
 日本語の女ことばと男ことば
 翻訳の中の女性はもっとも典型的な女ことばを話す?
 翻訳小説の女性の話し方vs現実の女性の話し方
 児童文学ではどうなる?
 児童文学は保守的。児童文学の翻訳はもっと保守的。
 翻訳者が再現しようとすること
 汚いとされる表現にも意味がある
 [……]

第二章 女たちのために自分たちで翻訳する
 一九七〇・八〇年代に、自分でいる力をくれた翻訳があった
 女性の健康のバイブル『Our Bodies, Ourselves』
 わたしのからだは自分のもの。自分のからだをよく知ろう。
 自分を大切に生きる権利は、みんなにある
 『Our Bodies, Ourselves』の時代―個人的なことは政治的なこと
 『女のからだ』の時代―ウーマン・リブ
 『からだ・私たち自身』の時代―ウーマン・リブからフェミニズムへ
 フェミニスト翻訳の三つの具体的な方法
 『女のからだ』のフェミニスト翻訳の方法
 『からだ・私たち自身』のフェミニスト翻訳の方法
 [……]

第三章 これからのために翻訳ができること
 これから考えられる三つの変化
 ①一律の女らしさから、それぞれの個性へ
 ②ネガティブなイメージのない性器の名称へ
 ③「彼」と「彼女」だけでなく、インクルーシブな代名詞を

著作者プロフィール

古川弘子

( ふるかわ・ひろこ )

古川 弘子(ふるかわ・ひろこ):東北学院大学国際学部教授。早稲田大学政治経済学部卒業後、出版社で雑誌編集と書籍編集に携わったのち、2011年に英国イースト・アングリア大学で博士課程を修了(Ph.D. in Literary Translation)。同大学でのポストドクターを経て2012年より東北学院大学に勤務。主にジェンダーの視点による文学翻訳研究を行っている。共編著書に『The Palgrave Handbook of Literary Translation』(Palgrave Macmillan 2018)、共著書に『Tsuji, Interpreters in and Around Early Modern Japan』(Palgrave Macmillan 2023)、『Translating Women』(Routledge 2017)などがある。

メディア情報

新聞

2024/10/29

東京新聞夕刊「大波小波」で紹介されました。
新聞

2024/10/27

読売新聞で紹介されました。(評者:池澤春菜さん)

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