フランス文学者鈴木信太郎の基礎を作った戦前の地主制度と家長制度は戦後農地改革をもって崩壊した。自宅も戦後の運命を先取りするように戦火に焼け落ちてしまう。だが信太郎が戦火から書物を守るために増築した鉄筋コンクリート造りの書斎は焼け残った。文学の永遠を暗示する象徴的な出来事に思えるのは私だけだろうか。豊島区の文化財として旧鈴木信太郎邸は近々公開されると聞く。マラルメの詩句「世界は一冊の美しい書物に近づくべく出来ている」のフランス語の銘があるという5枚のステンドグラスから降り注ぐ光を浴びて、信太郎と子息の道彦氏が目指した文学について思いを馳せてみたい。
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内容紹介
祖父は大地主、父は米問屋。その資産をも背景に、総領息子の信太郎は日本にフランス文学研究の移入を果たし、確かな基盤を築き上げる。鈴木家三代の激動の時代の歩みをたどり、稀代の文学者の“学問に生きる喜び”を極めた生き方を描く。
目次
富多村下吉妻
神田佐久間町
総領息子の教育方針
中学時代
高校から大学へ
大学時代
『〓瑰珠(ろざりよ)』と同人たち
フランス遊学
草創期の東大佛蘭西文学科
昭和期の信太郎と佛蘭西文学科
太平洋戦争の時代
敗戦とその後
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