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筑摩選書

スピノザ

——「変性の哲学者」の思想世界

その思想を一個の統一体として描く

多様な人間像と思想像を併せもった人、スピノザ。固有の「精神の運動」を読み解き、倫理学と政治学、聖書批判の相関関係からその思想世界を統一的に描き出す。

定価

2,090

(10%税込)
ISBN

978-4-480-01822-9

Cコード

0310

整理番号

0304

2025/05/15

判型

四六判

ページ数

352

解説

内容紹介

「神即自然」の認識を通して最高善へ――
政治思想史家畢生の書

スピノザは、十七世紀の他の思想家に比し、人間像と思想像において際立つほど多面的に受けとめられてきた。ユダヤ教会からの「破門」によって始まった「思考する実存」としての生。著作や書簡の読解から浮かび上がる固有の「精神の運動」。それらはどのような思想世界を形づくったのか。本書は、従来のイメージにとらわれることなく、スピノザにおける倫理学と政治学、そして聖書批判の内的連関を見定め、その思想を統一的に描き出す。

目次

本書を導くスピノザの六つの言葉
凡例

プロローグ──スピノザの独自性

第一章 伝説と実像との間
 第一節 分岐するスピノザ像
 第二節 伝説と実像との間──本書の課題と基本的な視座

第二章 生の軌跡
 第一節 「破門」まで
 第二節 破門以後

第三章 倫理学──形成と展開
 第一節 「精神の運動」──方法の問題
 第二節 倫理学の展開とその問題性

第四章 政治学──形成と展開
 第一節 論点の整理
 第二節 政治的共同体の形成
 第三節 政治的共同体の「目的」

第五章 聖書批判の展開
 第一節 論点の整理
 第二節 哲学と信仰=神学との分離
 第三節 聖書解釈の批判的方法
 第四節 聖書解釈の展開と「変性」の企図への隘路

エピローグ──スピノザからのメッセージ

あとがき──スピノザをめぐる研究私史からの断想
参考文献

著作者プロフィール

加藤節

( かとう・たかし )

加藤 節(かとう・たかし):1944年、長野県に生まれる。一九六九年、東京大学法学部卒業。1974年、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。専門は政治学史・政治哲学。成蹊大学名誉教授。著書に『近代政治哲学と宗教』『ジョン・ロックの思想世界』(ともに、東京大学出版会)、『政治と人間』『政治と知識人──同時代史的考察』『南原繁の思想世界──原理・時代・遺産』(いずれも、岩波書店)、『南原繁──近代日本と知識人』『ジョン・ロック──神と人間との間』(ともに、岩波新書)、『政 治学を問いなおす』(ちくま新書)、『同時代史考──政治思想講義』(未來社)など。訳書にジョン・ロック『完訳 統治二論』『寛容についての手紙』(李静和との共訳)『キリスト教の合理性』(いずれも、岩波文庫)、トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』上・下(ちくま学芸文庫)など。

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