イタロ・カルヴィーノ
( かるヴぃーの,いたろ )(1923-85)イタリアの作家。キューバで生まれ、北イタリアで育つ。43年、反ファシズムのパルチザンに身を投じる。それが彼の文学的出発点となり、47年に発表した『くもの巣の小道』は、ネオ・レアリズム小説の傑作と絶賛される。著書に『まっぷたつの子爵』『木のぼり男爵』『不在の騎士』『見えない都市』『冬の夜ひとりの旅人が』などがある。
loading...
1,100
円978-4-480-03087-0
0197
-25-1
1995/10/24
文庫判
384
頁次々に斬新な方法を創り出すイタリアの作家の、型破りな作品。すぐに中断してしまう、まったく別個の物語の断片の間で右往左往する「男性読者」とそれにまつわる「女性読者」を軸に展開される。読者は、作品を読み進みながら、創作の困難を作者と共に味わっている気持ちになる、不思議な小説。
冬の夜ひとりの旅人が
マルボルクの村の外へ
切り立つ崖から身を乗り出して
風の目眩も怖れずに
影の立ちこめた下を覗けば
絡みあう線の網目に
もつれあう線の網目に
月光に輝く散り敷ける落葉の上に
うつろな穴のまわりに
いかなる物語がそこに結末を迎えるか?
本書をお読みになったご意見・ご感想などをお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社HP、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただくことがございます。