玄侑宗久
( げんゆう・そうきゅう )一九五六年福島県生まれ。慶應義塾大学中国文学科卒業。八三年、天龍寺専門道場入門。現在、臨済宗妙心寺派福聚寺住職。花園大学仏教学科および新潟薬科大学応用生命科学部客員教授。二〇〇一年「中陰の花」で芥川賞を、一四年「光の山」で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。著書に、『禅的生活』(ちくま新書)、『荘子と遊ぶ』(ちくま文庫)、『やがて死ぬけしき』(サンガ新書)、『竹林精舎』(朝日新聞出版)などがある。
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禅は世間の常識を疑ってかかる。この世で生きていくうえで常識はたしかに必要だが、それは往々にして私たちの精神を不自由にもする。禅が何より大切にするのは、心を解き放つこと。常識に潜む邪気に無邪気で向き合うのだ。禅語と呼ばれることばの数々には、そうした禅の真髄が意味深長に、ときに韜晦まじりに表れている。自然と和しながら人為の常識を覆す禅語の宇宙、その豊饒を、高僧の墨蹟と達意の文章で綴る。
年新た
春立つ
夏来り
秋を訪う
冬篭もる
無季
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