内容紹介

詩人失格(遠山啓) 断食芸人(カフカ) 模倣と独立(夏目漱石) 美の法門(柳宗悦) 茶室(岡倉天心) 歌よみに与うる書(正岡子規)など26篇

目次

箴言(ジレージウス)
芸術に関する一〇一章より(アラン)
昨日、動く砂は(ジャコメッティ)
下手もの漫談(小出楢重)
詩人失格(遠山啓)
自画像(寺田寅彦)
モンテーニュ(落合太郎)
断食芸人(カフカ)
酔中一家言(尾崎士郎)
桜間弓川さんのこと(野上弥生子)〔ほか〕

著作者プロフィール

鶴見俊輔

( つるみ・しゅんすけ )

1922-2015年。哲学者。1942年、ハーヴァード大学哲学科卒。46年、丸山眞男らと「思想の科学」を創刊。65年、小田実らとベ平連を結成。2004年、大江健三郎らと「九条の会」呼びかけ人となる。著書に『アメリカ哲学』『限界芸術論』『アメノウズメ伝』などのほか、エッセイ、共著など多数。『鶴見俊輔集』全17巻もある。

安野光雅

( あんの・みつまさ )

安野 光雅(あんの・みつまさ):1926年島根県津和野生まれ。画家・絵本作家として、国際アンデルセン賞、ケイト・グリーナウェイ賞、紫綬褒章など多数受賞し、世界的に高い評価を得ている。主な著作に『ふしぎなえ』『ABCの本』『繪本平家物語』『繪本三國志』『片想い百人一首』などがある。2020年、逝去。

森毅

( もり・つよし)

1928年東京生まれ。東京大学数学科卒業。京都大学教養部教授を長く務める。著書に『まちがったっていいじゃないか』(ちくま文庫)、『数学の歴史』(講談社学術文庫)、『対談 数学大明神』(安野光雅氏と共著、ちくま学芸文庫)ほか多数。2010年7月逝去。

池内紀

( いけうち・おさむ)

1940年、兵庫県姫路市生まれ。ドイツ文学者。エッセイスト。主な著書に、『ウィーン・都市の詩学』(73年)、『諷刺の文学』(78年・亀井勝一郎賞)、『海山のあいだ』(94年・講談社エッセイ賞)、『見知らぬオトカム――辻まことの肖像』(97年)、『ゲーテさんこんばんは』(2001年・桑原武夫学芸賞)、『二列目の人生』(03年)、『ひとり旅は楽し』(04年)、『森の紳士録』(05年)、『池内紀の仕事場』(全8巻・04年-05年)など。主な訳書に、カネッティ『眩暈』(1972年)、ジュースキント『香水』(88年)、ロート『聖なる酔っ払いの伝説』(89年)、ゲーテ『ファウスト』(99年・毎日出版文化賞)、『カフカ小説全集』(全6巻・2000年-02年・日本翻訳文化賞)など。

アラン

( あらん)

1868~1951年。フランスの哲学者。本名エミール=オーギュスト・シャルティエ。高等師範学校卒業後、リセの教師となる。その哲学講義は学生たちの支持を受け、教え子からシモーヌ・ヴェイユをはじめとする哲学者を輩出している。65歳で教職を退き亡くなるまで執筆活動を続けた。著書に『幸福論』『定義集』『諸芸術の体系』などがある。

遠山啓

( とおやま・ひらく)

1909-79年。熊本県生まれ。東京大学数学科に入学するも退学、のち東北大学数学科を卒業。海軍教授をへて東京工業大学教授。数学教育への関心から民間教育団体「数学教育協議会」を結成、長く委員長をつとめた。数学教育の理論と方法を開発・提唱し、その水道方式、量の理論などは、教育現場に大きな影響を与えた。著書に『無限と連続』『数学入門(上・下)』(以上、岩波新書)、『代数的構造』『現代数学入門』『代数入門』『微分と積分』(以上、ちくま学芸文庫M&S)、『競争原理を超えて』(太郎次郎社)などがある。教科書や雑誌の創刊にも多く関わった。

坂口安吾

( さかぐち・あんご)

1906-1955。新潟市の生まれ。本名は炳五。中学を放校されて上京、東洋大でインド哲学、アテネ・フランセでフランス文学を学ぶ。「木枯の酒倉から」「風博士」によって、一部の注目をあびる。戦争中は「日本文化私観」「青春論」などの卓抜なエッセイを書きつづけ、戦後、「白痴」「堕落論」で一挙に世に出た。独特の発想と視点をもった文明批評や、「不連続殺人事件」などの探偵小説もある。

夏目漱石

( なつめ・そうせき)

1867-1916年。江戸・牛込馬場下横町(現・新宿区喜久井町)に生まれる。本名金之助。1893年、東京帝大英文科卒業。松山で愛媛県尋常中学校教師、熊本で第五高等学校教授を勤めたあと、1900年、文部省留学生としてイギリスに留学(1903年1月、帰国)。帰国後は東京帝大講師として英文学を講じながら、『ホトトギス』誌上に「吾輩は猫である」を発表。その後、朝日新聞に入社し、「虞美人草」「三四郎」などを連載、国民的大作家となる。主な作品に「坊っちゃん」「行人」「こころ」「それから」「門」などがある。

柳宗悦

( やなぎ・むねよし)

1889-1961年。学習院高等科在学中に雑誌「白樺」創刊に参加。主に美術の分野を担当した。東京帝国大学哲学科を卒業後は宗教哲学者として活躍。濱田庄司、河井寛次郎、バーナード・リーチ、富本憲吉らと出会い、「民藝」という新しい美の概念を打ちたてた。眼の人として知られるが、柳のまなざしは、物の美しさだけではなく、物を生み出した人や社会にたえず注がれていた。

岡倉天心

( おかくら・てんしん)

1863-1913年。思想家。美術史家。横浜生まれ。東京大学でフェノロサに学ぶ。古美術の保護、美術の普及、教育に従事し、東京美術学校(現東京芸術大学)を創立。のち日本美術院を組織し、多くの弟子を育てる。

正岡子規

( まさおか・しき)

(1867─1902)伊予、松山の生まれ。東京・根岸に居を構え、脊椎カリエスによって病床に伏す身でありながら旺盛な創作活動を展開。近代俳句を提唱し、短歌革新に着手、日本の近代文学に多大な影響を及ぼした。『病床六尺』『仰臥漫録』など。

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