第1章 世界は意味に満ちあふれている――やっかいな問題としての社会
社会は二重に複雑/社会は意味から成り立っている/意味は言葉で成り立っている/やっかいな問題/社会問題に解決はない/社会は存在するの?/デュルケムの「社会的事実」/社会と社会学の共進化/社会学は社会主義/社会学は社会の解決力を擁護する/社会をプロセスとして考える/固定的な見方を解きほぐす
第2章 社会学って何だ?――みんなで規範の物語を作るいとなみ
飯島伸子の「被害構造論」/社会学は対話から成り立っている/社会学は社会の外に出られない/社会学は規範的な学問/規範を前面に出した「サードブレイス」論/意味は身体的な行為の中から生まれる/共同の規範をつくるいとなみとしての社会学/環境問題はどう解決できるかという問い/ヒントとしての順応的管理/順応的なプロセスとしての社会学
第3章 聞くことこそが社会学さ――対話的な社会認識としての調査
意味を集める/ソロモン諸島の経験から/対話的に社会認識が進む/対話の試行錯誤/社会学は全体性を手放さない/インタビューは認識を更新するプロセス/ライフストーリーを聞く/個人の中の複雑な社会を聞く/観察という「聞く」/文献・資料調査という「聞く」/統計調査という「聞く」/アンケート調査という「聞く」/アンケート調査にも対話プロセスが必要/社会学は「聞く」の組み合わせ
第4章 社会学は泥臭い分析技法を手放さない――圧縮して考える
データ集めと分析は同時並行/分析の基本は「圧縮」/数値化という圧縮/コード化という圧縮/図表化という圧縮/図表化することで気づく/見通しをよくして考える/四つの分析パターン/被災住民調査から/分類・傾向・比較・関係/広義の比較に意味がある/演繹と帰納/アブダクションという推論方法/いいアブダクションのためにはいい圧縮を
第5章 理論って何だ?――表現の技法としての理論と物語
言葉で表現するということ/「感情労働」論のインパクト/ソロモン諸島研究の理論化/いろいろな水準の理論がある/グランド・セオリーより中範囲の理論/理論とは共同で考えるためのフレームワーク/欠如モデルに陥らないために/冗長性をもった理論と物語/理論・物語としての記述/関係性まで描き出す厚い記述/理論を利用する
第6章 みんなソシオロジストになればいいのに――人びとの共同のいとなみとしての社会学
「協議会」の失敗/合意形成の困難/社会学実践をしよう/聞くことが基本的な姿勢/対話を継続し蓄積する/共同で分析し提言する/社会学することの喜び