森見 登美彦
もりみ・とみひこ
1979年奈良県生まれ。京都大学農学部卒業、同大学院修士課程修了。在学中の2003年に『太陽の塔』でファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。そのほかの作品に、『四畳半神話大系』『きつねのはなし』『新釈 走れメロス他四篇』『有頂天家族』がある。
「名作は可愛い」ということを発見しました。
それはどういうことかというと、名作たち自身はぜんぜん偉そうにしていないということです。どんな名作も「俺を読め」とは無理強いできないから、時代を越えて長い間、ずうっと読者を待っている。今日この日、私と出逢うためにどれだけ待っていたことか。健気で我慢強い乙女のようだ。髭の立派な文豪の作品でさえ、乙女に見える。その奥ゆかしいところが私は好きです。しかも文庫判の全集となれば、ますます愛らしいのです。大きなものを小さくすると、たいてい可愛くなってしまう。これは、どうしようもない。
美しい本を愛でるもよし、文章を味わうもよし、時代の違いを面白がるもよし、時代を越えて自分の心に響く言葉を見つけるもよし、現代からいったん逃げ出すために読むもよし、古典的名作を読んでいる自分がなんとなく偉くなったように思って得意になるもよし。面白がり方も自由自在です。
そういうわけで可愛い一冊を手に取りましょう。私も読みます。
それはどういうことかというと、名作たち自身はぜんぜん偉そうにしていないということです。どんな名作も「俺を読め」とは無理強いできないから、時代を越えて長い間、ずうっと読者を待っている。今日この日、私と出逢うためにどれだけ待っていたことか。健気で我慢強い乙女のようだ。髭の立派な文豪の作品でさえ、乙女に見える。その奥ゆかしいところが私は好きです。しかも文庫判の全集となれば、ますます愛らしいのです。大きなものを小さくすると、たいてい可愛くなってしまう。これは、どうしようもない。
美しい本を愛でるもよし、文章を味わうもよし、時代の違いを面白がるもよし、時代を越えて自分の心に響く言葉を見つけるもよし、現代からいったん逃げ出すために読むもよし、古典的名作を読んでいる自分がなんとなく偉くなったように思って得意になるもよし。面白がり方も自由自在です。
そういうわけで可愛い一冊を手に取りましょう。私も読みます。