小川 洋子
おがわ・ようこ
1962年岡山市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。88年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞、91年「妊娠カレンダー」で芥川賞、06年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞を受賞。著書に『冷めない紅茶』『沈黙博物館』『まぶた』『博士の愛した数式』『ブラフマンの埋葬』『物語の役割』などがある。
手をのばせばすぐに届く場所、例えば食卓の隅や、枕元や、通勤鞄の中に、「樋口一葉」がそっとたたずんでいる、というのは何と贅沢なことだろうか。それは、芸術的宝物をいつもかたわらに携えて生活するのと等しい。『ちくま日本文学』は、私たちにそんな真の豊かさをもたらしてくれる。