四方田犬彦
( よもた・いぬひこ )四方田 犬彦(よもた・いぬひこ):1953年生まれ。批評家・エッセイスト・詩人。著作に『見ることの塩』(河出文庫)、翻訳に『パゾリーニ詩集』(みすず書房)がある。
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犬神座封切142本立。映画の100年を自らフィルム体験へ呼び返す《楽しい映画史》
第1章 映画は誕生したばかりだった。人々はあわてふためき、今見たばかりの列車の到着を性急に定義付けようとした。
第2章 クローズ・アップは映画を夢のリボンへと変えた。
第3章 映画は移動の快楽を覚え、みずから反復するすべを学んだ。
第4章 映画は音声を獲得した。音は画面をいっそう「真実」に近付けた。
第5章 色彩の導入は映画をなにからなにまで変えてしまった。
第6章 映画は意味作用の集合体として、分析の対象となった。
第7章 映画はしきりに越境への誘惑を説き続けた。
第8章 だれもが同じ言葉で映画を語り、映画を信じていた時代というものが存在していた。
第9章 彼らは生き、作品を完成し、そして忘れられた。
第10章 難解なフィルムとはなんだろうか。退屈なフィルムとはなんだろうか。映画にははたして批評が必要なのだろうか。
第11章 映画のことばかり考えていたわけではなかった。けれど、映画はいつも眼の前にあった。
第12章 映画はもうすぐ百歳になる。それがなんなのか、今ではだれ一人として定義できなくなってしまった。
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