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ちくま新書

欲張らない死に方

——賢く老いるヒント

幸福な最期を邪魔するのは"欲望"です

一度きりの最期を幸福に迎えるための知恵とは。終末医療の現場にいた医師が人間の欲望をキーワードに、賢い老い方や理想の介護について、リアルに考える。

定価

1,012

(10%税込)
ISBN

978-4-480-07764-6

Cコード

0247

整理番号

1931

2026/09/08

判型

新書判

ページ数

224

解説

内容紹介

幸福な最期を邪魔するのは〝欲望〟です
本人も、家族も

医師作家が贈る、70歳からの「死に方」入門。

「元気に長生きしたい」「迷惑をかけたくない」「苦しまずに死にたい」――欲張りすぎると、老いも死も不幸なものになる。
上手に死ぬためには、死とはどういうものかを知ることから。
高齢者医療、終末医療の生々しい現実と、身もふたもない医師の本音を交えながら、賢い老い方、死に方を考えます。
大切なのは、受け入れる心の準備。
70代になった医師作家が、人間の欲望をテーマに書き下ろした一冊。

死はワンチャンス。
「上手な死に方」を、医師が本音で教えます。

【幸福な最期のために、知っておきたいこと】
◎救急車を呼ばない。病院では安らかに逝けない
◎日頃から健康に気を使わない
◎健診や検査は、異常のないときに受けない
◎延命治療は、苦しみを長引かせるだけ
◎死に目に間に合う、は家族のエゴ
◎寝たきりのシミュレーションをしてみる

【本文より】
……私は高齢者医療の現場に長くいたので、老いとか死について多くの患者さんからいろいろ学ばせてもらった。苦しい老い方をしている人や、あまり好ましくないというか、下手な死に方をした人をたくさん見て、なぜ多くの人が同じ失敗を繰り返すのかを考えると、その背景には、当たり前のことながら、死にたくないとか、苦しみたくないとかいう、人間の本能的な欲求があることに気づいた。
本能的な欲求、すなわち〝欲望〟である。…
"欲望"というキーワードで考えれば、老いや死の受け入れ方だけでなく、生きていく上でのさまざまな苦を減らせるのではないか。……

目次

第一章 善意にひそむ欲望――地獄への道は善意で舗装されている
安らかな最期を阻むのは、家族の欲望/善意の裏にあるもの/最良の看取りとは/在宅での看取りの不安/残酷な心肺蘇生/がん治療、励ましの功罪/がん告知すべきか否か/子育てにひそむ欲望/親切なヘルパーが引き起こす不幸/善意という名の欲望

第二章 欲望とは何か、執着とは何か
「それが欲望なんですか?!」/〝欲〟につきまとう悪印象/欲求の五段階/欲望に貴賤あり?/世代別の欲望/自然に消える欲望/誤解による欲望・その1「長生きしたい」/誤解による欲望・その2「偉くなりたい」/誤解による欲望・その他もろもろ/叶わぬ欲望、それは執着/安易な「優しさ」が執着を増大させる

第三章 宗教化する現代医療
医療にはバイアスがかかっている/検査をしすぎる日本人/出来高払いと包括払い/やりすぎる医療の弊害/批判する者はまず実行せよ/悲惨な延命治療とは/悲惨な延命治療を避けるには/なんで救急車を呼ぶの/死が目の前に迫ったときに人生を楽しむには/医療の進歩がかき立てる欲望/不都合な真実とネガティブ・ケイパビリティ/医療は宗教か

第四章 老いる欲望、死に方と欲望
高齢者の後ろ向きな欲望/『がんばらない』のヒット/かつての規範が否定される現代/欲望肯定主義の蔓延/老いの欲望につけ込むビジネス・その1 サプリメント業界/老いの欲望につけ込むビジネス・その2 美容業界/老いの欲望につけ込むビジネス・その3 週刊誌業界/老いの欲望につけ込むビジネス・その4 高齢者施設業界/「長生き=善」を疑う/大往生からピンピンコロリへ/さらには平穏死へ/デス・リテラシーが低い日本人/大新聞の有害記事/安楽死考

第五章 介護における欲望のズレ
新聞の人生相談から/介護される側の欲望/介護する側の欲望/介護にひそむ二律背反/尊厳か、安全か/虐待につながる欲望/よりよい介護を実現するには

第六章 あれも欲望、これも欲望
欲望のバリエーション/ほめられたい欲望、尊敬されたい欲望/差別やイジメにひそむ欲望/正義にひそむ欲望=善行欲/終活は欲望の表れ/「人に迷惑をかけてはいけない」考/一七歳の葛藤/「欲の一元論」

第七章 欲望から抜け出せない不幸
人の幸せを喜べない悩み/叶わぬ欲望の宝庫/苦しみをもたらす欲望・その1 死にたくない/苦しみをもたらす欲望・その2 楽に死にたい/苦しみをもたらす欲望・その3 生きた証を残したい/苦しみをもたらす欲望・その4 子どもがほしい/苦しみをもたらす欲望・その5 子どもに幸せになってほしい/苦しみをもたらす欲望・その6 志を遂げたい/「一番病」の苦しみ

第八章 欲望を飼い慣らす
老いと欲望の功罪/欲望をコントロールする方法=AIの答え/欲望と思慮の関係/現状肯定のすすめ/寝たきりのシミュレーションをしてみよう/古人の言葉に学ぶ/父から受け継いだもの/「どっちゃでもええ」主義/死はワンチャンスのみ

著作者プロフィール

久坂部羊

( くさかべ・よう )

久坂部 羊(くさかべ・よう):1955年大阪府生まれ。小説家・医師。大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院にて外科および麻酔科を研修。その後、大阪府立成人病センターで麻酔科、神戸掖済会病院で一般外科、在外公館で医務官として勤務。同人誌「VIKING」での活動を経て、2003年『廃用身』で作家デビュー。2014年『悪医』で第3回日本医療小説大賞を受賞。小説作品に『破裂』『無痛』『神の手』(幻冬舎文庫)、『老乱』(朝日文庫)ほか。新書作品に『医療幻想』(ちくま新書)、『日本人の死に時』『人間の死に方』(幻冬舎新書)、『人はどう死ぬのか』『人はどう老いるのか』『人はどう悩むのか』(講談社現代新書)ほか。小説、エッセイともに著書多数。

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