佐伯啓思
( さえき・けいし )1949年奈良県生まれ。東京大学経済学部卒業。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専攻は社会経済学・経済思想史。著書に『隠された思考』(ちくま学芸文庫、サントリー学芸賞)、『「アメリカニズム」の終焉』(中公文庫、東畑記念賞)、『現代日本のリベラリズム』(講談社、読売論壇賞)、『現代文明論講義』(ちくま新書)、『貨幣と欲望』(ちくま学芸文庫)ほか多数。
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今なぜグローバル経済は、きわめて不安定化しているのか。その深層には、限りなく増殖し続けている人間の欲望と貨幣の作用の存在がある。そしてそれらを突き動かしているものは、経済学だけではとうてい理解できない。フロイトやラカンの精神分析、ニーチェやハイデッガーの哲学的議論、さらにウェーバーやゾンバルトの社会学―これらを総合し、資本主義の誕生から現代に至るまでの経済を、単なる経済現象としてだけでなく、人間精神の表現として捉え直す。現代資本主義を根源から批判的に考察する「精神解剖学」の試み。
序章 市場主義に抗して
第1章 重商主義者のつかの間の夢
第2章 ジョン・ローと「資本主義」の発見
第3章 二人の「錬金術師」―ジョン・ローとニュートン
第4章 “市民的資本主義”と悪魔の貨幣―ウェーバーとプロテスタンティズム
第5章 「罪の意識」と“ユダヤ的資本主義”―ウェーバー、ニーチェ、フロイト
第6章 ユダヤ人と「余計なもの」―“ユダヤ的資本主義”から帝国主義へ
第7章 「主体なき欲望」と貨幣―“分裂症的資本主義”の成立
第8章 「過剰」と「退屈」のグローバル資本主義
終章 「大地」と「世界」の抗争―結論的覚え書き
補論
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