山口昌男
( やまぐち・まさお )1931年生まれ。東京外国語大学名誉教授。2013年没。
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山口の文化史的な思考が縦横に展開された特権的なフィールドが「道化」であった。古代民俗から中世世界を経て現代の映像・メディア文化にいたる「道化」のあらゆる表象をとりあげ、伝統社会、東洋、西洋を横断する文化史的な見取り図を示したこの一群の研究は、すでに二十世紀思想史における大きな人類的資産の一つである。しかも山口道化論は、近代知識人のありうべきスタイルと機知とを実践的に示すものとしても、きわめて独創的である。本巻は、道化研究によって、自らの思想の方法論としての「道化」性を宣言する、自己表現の熱きマニフェストとしても読むことができる。
第1章 アルレッキーノの周辺(コンメーディア・デラルテ『二人の主持ちのアルレッキーノ』
科白とマイムの意味論 ほか)
第2章 アルレッキーノとヘルメス(アルレッキーノの起源論
アルレッキーノの民俗 ほか)
第3章 アフリカ文化と道化(社会構造と道化的行為
演劇的行為としての「ジョーク」 ほか)
第4章 黒き英雄神クリシュナ(始原児クリシュナ神とヘーラクレース
クリシュナ、ヘルメス、ヘーラクレース ほか)
第5章 アメリカ・インディアンと道化の伝統(蘇るインディアン
道化と想像力 ほか)
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