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単行本

つむじ風食堂の夜

定価

1,650

(10%税込)
ISBN

978-4-480-80369-6

Cコード

0093

整理番号

2002/12/10

判型

四六判

ページ数

160

解説

内容紹介

食堂は、十字路の角にぽつんとひとつ灯をともしていた。私がこの町に越してきてからずっとそのようにしてあり、今もそのようにしてある。十字路には、東西南北あちらこちらから風が吹きつのるので、いつでも、つむじ風がひとつ、くるりと廻っていた。くるりと廻って、都会の隅に吹きだまる砂粒を舞い上げ、そいつをまた、鋭くはじき返すようにして食堂の暖簾がはためいていた。暖簾に名はない。舞台は懐かしい町「月舟町」。クラフト・エヴィング商会の物語作家による書き下ろし小説。

著作者プロフィール

吉田篤弘

( よしだ・あつひろ )

1962年東京生まれ。主な著作に『つむじ風食堂の夜』『針がとぶ Goodbye Porkpie Hat』『百鼠』『空ばかり見ていた』『78ナナハチ』『小さな男*静かな声』『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『圏外へ』『パロール・ジュレと紙屑の都』『水晶萬年筆』『モナ・リザの背中』『電氣ホテル』『ソラシド』『レインコートを着た犬』などがある。小説を執筆するかたわら、クラフト・エヴィング商會名義による著作と装幀の仕事も行なっている。

この本への感想

装幀に惹かれてこの本を手にしました。
つむじ風食堂に集う人々の近すぎず、それでいて
きちんと話を聞いている距離感が素敵です。
夜更けに通うクロケット定食の美味しい食堂。
”住んでる町で小さな喜びを見出すひとが幸せになれる”
そんなことを教えてくれる本。

RINKO

さん
update: 2009/10/19
本屋さんにひっそりと佇んでいたのをたまたま購入しました。
「ひっそりと佇む」という言葉がふさわしい、なんとも不思議でやさしい小話です。
料理に例えるなら、丁寧に裏ごしがされた濃厚なコーンポタージュのような作品。
懐かしくもあり、夢のようであり。
読み進めていくと、遠い宇宙から、この本を読んでいる自分がポツンと見えるような、そんな摩訶不思議な本です。

sonouchi_itsuka

さん
update: 2009/04/23
これまで読んで来たどの物語より良い話だった。無人島に持っていくなら絶対この本。
言葉の運びが上手くて、文章が繊細ですごく綺麗。
登場人物がみんな柔らかくて親近感がわくし、何よりも構成が私好み。
最後のあとがきなんてため息ものだ。
内容は難しくて、多分誰が考えても正確な答えなんてわからないんだろうけど、誰もが1回は感じたであろうことがはしはしに出てくるから共感もできる。
1文字1文字がキラキラしている素敵な作品だった。

味噌

さん
update: 2009/04/22
 新聞の宣伝欄で見かけ、なんだか郷愁を誘う題名だなと思い手にした。名もない食堂に吹き込むつむじ風のように、ここに集まる人々の関わりが静かに、ほんとうに静かに描かれる。さえない役者の奈々津、果物屋の青年、帽子屋、古本屋、食堂の主人、そしてねこのオセロにいたるまで、決して人の生活にドカドカと割り込まない。しかし、どこかで関わっている。その距離感が心地よい。主人公の亡父の袖口が風に飛ばされていく終末には、父との魂の決別があるようで、思わず声援を送りたくなった。読み終わったとたん、終わってしまったのかという思いのする、静かに表紙を閉じたくなるような珠玉の作品。

品川巻き

さん
update: 2009/04/13
とても静かで穏やかな小説でした。アップダウンはほぼ無いに等しいので「面白い」という評価はつけにくいけど、読んでると大変心が静まります。

ラジ

さん
update: 2008/05/02

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